IADL(手段的日常生活動作)
IADL(あいえーでぃーえる、Instrumental Activities of Daily Living)とは、手段的日常生活動作能力のことです。IADLは、基本的な身体動作である「基本的日常生活動作能力(BADL)」に対し、たとえばお買い物や食事の支度、電話の対応、金銭や服薬の管理など、身近でより複雑な多くの労作が要求されるものを指しています。
ICU(あいしーゆー、Intensive Care Unit)
ICUとは、集中治療室のことです。集中治療室では、一般病棟では治療が難しいと思われる重症患者に対し、24時間体制で高度な医療・看護を行います。集中治療室には急性心不全や脳卒中など急性症状を起こした患者など、病院側が必要と判断された場合に収容されます。近年ではICUの細分化・専門化が進む傾向が見られ、特定疾患の治療に特化した施設もあります。
アイスマッサージ
アイスマッサージとは、嚥下反射(ゴックンという反射)をスムーズに起こせるようにする、リハビリの一種です。凍った綿棒に少量の水をつけ、軟口蓋や舌根部を軽く2,3回刺激した後、すぐに空嚥下をさせます。嚥下反射は水の化学的刺激・氷による温度刺激・物理的(機械的)な刺激(綿棒による刺激)の相乗作用で嚥下反射が誘発されやすくなります。アイスマッサージは、食間に空嚥下の練習をするときや摂食訓練を行う前に併用します。
IVH(あいぶいえいち、Intravenous Hyperalimentation)
IVHとは、中心静脈栄養(ちゅうしんじょうみゃくえいよう)のことで、経口摂取できない患者(消化器疾患や手術後など)に対して施される処置をいいます。IVHは、主に鎖骨下の大静脈にカテーテルを挿入して栄養補給を高カロリー輸液で行います。なお、消化管が機能しているとみられる場合は、IVHから消化管にゴム管などを使って直接栄養剤を投与する経腸栄養に切り替えられます。
アウトリーチ(out reach)
アウトリーチとは、ソーシャルワークや福祉サービスの一般的実施機関が、通常の枠を超えて潜在的な利用希望者に手を差し伸べ利用を実現させるような取り組みをいいます。アウトリーチは、本来「手を差し伸べる」という意味があり、ソーシャルワークや福祉サービスの実施機関自身が、支援を必要としながら、自発的に申し出ない人々に対し、積極的に働きかけ、支援の実現を目指す手法です。
アカウンタビリティ(accountability)
アカウンタビリティとは、説明責任のことです。介護福祉においては、サービス提供者が利用者への説明の責任を果たすという意味で使われます。従来は、行政が利用者が受けるべきサービス内容を決定していました(措置制度)が、利用者自身がサービスを選び契約するという契約制度に移行する中、アカウンタビリティは重要性を増しています。
明るい長寿社会づくり推進機構
明るい長寿社会づくり推進機構とは、厚生労働省が平成元年に策定した「高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)」に基づき高齢者の生きがいと健康づくりを応援する目的で設置された、組織です。活動は市町村や福祉団体と連携しながら都道府県レベルで行われています。地域の支え手となる高齢者を育むため、高齢者のスポーツや文化、学習活動に加え、コミュニティづくりの支援やボランティア活動の推進など、自主的な社会貢献活動を支援する取り組みを行っています。
悪性関節リウマチ(MRA、Malignant Rheumatoid Arthritis)
悪性関節リウマチとは、従来の関節リウマチに、全身の血管炎をともなう疾患です。悪性関節リウマチでは、全身の関節痛のほか、全身の血管炎を伴います。同時に様々な器官に障害を併発することも多く、厚生労働省の特定疾患に認定されている難病です。単に関節リウマチが進行し、関節の機能が著しく低下したものは悪性に含まれません。
悪性腫瘍(あくせいしゅよう)
悪性腫瘍(あくせいしゅよう、MT、malignant tumor)とは、一般には「がん」と呼ばれ、「悪性新生物」ともいう腫瘍です。良性腫瘍はできた組織の中だけで増殖しますが、悪性腫瘍は発育速度が早く、他の組織へも浸潤して増殖を繰り返したり、転移したりします。
また、悪性腫瘍は治療をせずに放置すると、増殖を繰り返し人体に必要なエネルギーを消耗したり、臓器の機能不全を引き起こすことから死に至ります。
悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)
悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)とは、血液のがんです。ウイルス感染症が関係することや、免疫不全者に多いことがわかっていますが、明確な発生原因はわかっていません。悪性リンパ腫は、リンパ系組織(リンパ節、胸腺、脾臓、扁桃腺、リンパ管、リンパ液など)とリンパ外臓器(胃、腸管、甲状腺、脊髄、肺、肝臓、皮膚など)から発生し、リンパ節の腫れ、全身症状(倦怠・発熱・寝汗・体重の減少など)が見られます。
アグレッシブ・ケースワーク(aggressive casework)
アグレッシブ・ケースワークとは、積極的援助ともいい、社会福祉施設や機関の援助が必要な問題を抱えているにもかかわらず援助を求めない対象者に積極的に働きかける活動をさします。アグレッシブ・ケースワークの実施者は「積極的援助者」といわれ対象者の問題解決に取り組みます。家庭訪問など個別な援助活動を行い対象者自身が援助の必要を認識できるよう働きかけます。
足浴(そくよく)
足浴とは、湯を足につけて洗う方法のことです。足浴には、清潔を保つほか、足先の血行を良くし身体全身を温める効果があります。また、足浴によって床ずれの予防になること、足浴と同時にマッサージを行うことでリラックス効果や安眠効果が高まります。足浴を行う理想の姿勢は端座位(たんざい:足を下ろして座った姿勢)ですが、被介護者の状態によって仰臥位(ぎょうがい:あおむけ)で行うこともあります。
アセスメント(assessment)
アセスメントとは、介護過程において、援助活動を行う前に行われる評価です。アセスメントは、利用者の問題の分析から援助活動の決定まで、援助活動に先立って行われる一連の手続きをいいます。アセスメントは、介護を受ける側の状態や介護する側の状況、利用者が求めるサービスなどを総合的に判断して、適切なサービスやケアプランを提示するために必要な調査です。
アダムス・ストークス症候群(Adams-Stokes syndrome)
アダムス・ストークス症候群とは、一過性の長い心停止、または心室細動などの不整脈により、心臓から脳へ血液が充分に送られず、脳の酸素量が低下して起きる病態です。めまい・全身けいれん・失神(意識消失)・尿失禁・徐脈などの症状が現れます。治療は、徐脈が原因の場合は心臓ペースメーカーの植え込み、頻脈発生を電気的に停止させる植込型除細動器の植え込みを行います。
圧迫骨折(あっぱくこっせつ)
圧迫骨折(あっぱくこっせつ)とは、外傷や椎骨の弱まりによって脊椎をつくる個々の椎骨が崩壊することをいいます。折れるというより、潰れてしまう状態です。圧迫骨折は、「腰椎圧迫骨折」と「胸椎圧迫骨折」に分かれます。圧迫骨折により、痛みのほかしびれ、筋力低下、知覚麻痺などが生じます。治療は、コルセットを用いる保存療法のほか、手術や経皮的椎体形成術などが行われます。
アテンダント・ケア(attendant care)
アテンダント・ケアとは、障害者個人を対象に、日常生活行動や動作の基本的なもののなかで、自分で行える度合いの低いものを支援することをいいます。日常生活動作の「介助」には、食事、排泄、入浴、移動、着替え、コミュニケーションなどが挙げられますが、介護を受ける方がこれらの動作をできるようにするため、介助者は選択や掃除、食事の用意など身の回りのお世話や生活必需品の買い物の代行、外出時の支援などを行います。
アドボカシー(Advocacy)
アドボカシーとは、知的障害や精神障害、認知機能が低下した結果、自分で判断する能力が欠け、自分の意志や権利を主張することが難しい人々に代わり、代理人が権利を擁護するために代弁する活動のこと。アドボカシーは、対象者ごと個別に行う「ケースアドボカシー」と、広く地域の状況や制度の改善を行う「クラスアドボカシー」とに大別できます。
アドボケイト(advocate)
アドボケイトとは、認知機能の低下や知的障害、精神障害など自分の意思であったり権利を主張するのが困難な方々、自己判断能力が十分でない方々に代わり権利を擁護するために代弁活動を行う人の事。アドボケイトには、擁護者、代弁者という名詞としての意味と主張する、擁護するといった動詞としての意味の二種類が含まれています。権利を代弁・擁護し、権利実現を支援する機能のことは、アドボカシー(advocacy)といいます。
アニマルセラピー
アニマルセラピーとは、動物とふれあうことで情緒的な安定、レクリエーション・QOL(生活の質)の向上を目指す活動です。アニマルセラピーでは、人間が動物と触れ合うことで、ストレスを軽減させ、自信が持てるようになり、精神的な健康を回復させることができると考えられています。アニマルセラピーは、レクリエーションのほか、医療の補助療法や、教育現場でも用いられることがあります。
アリセプト(塩酸ドネペジル)
アリセプトとは、アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症の症状進行を抑制する薬です。剤型には口腔内崩壊錠(OD錠)とゼリー剤、ドライシロップがあります。アリセプトは、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを阻害し、アセチルコリンを増やします。アセチルコリンは記憶や思考に関わるため、認知症に関連する症状が改善します。
アルツハイマー型老年認知症(SDAT、senile dementia of Alzheimer type、痴呆)
アルツハイマー型老年認知症とは、アルツハイマー型認知症のうち老年期(65歳以上)に発症するタイプで、進行は遅いとされます。ほとんどの場合、健忘症から始まり、次第に記銘力・記憶障害が明らかになり、計算力や判断力、注意力や見当識も障害をおこします。現在認知機能障害を治すための治療法はなく、症状によって対処療法が行われます。
安静看護(あんせいかいご)
安静介護とは、横になるなどの姿勢で楽な状態を保ち看護することです。安静を保つ目的は、全身の代謝機能を低下させエネルギーの消耗を少なくすること、障害部位の安静をたもつことにより疼痛を緩和することなどが挙げられます。介護者は、患者の身体的活動が制限されていてもニーズが十分に満たされるよう、基本的な日常生活行動に対するきめ細やかな援助を行う必要があります。
アンビバレンス(ambivalence)
アンビバレンスとは、ある対象に対し、尊敬や軽蔑、愛情や憎悪といった相反する感情を同時に持ったり、それを態度に表したりすることをいいます。両価性ともいいます。アンビバレンスは神経症、統合失調症などの病的な状態に見られますが、正常な心理状態においてもみられます。アンビバレンスでの対立は、何らかの方法で和解することがなく、同じ割合で出現するところに特徴があります。
アンペイドワーク(unpaid work)
アンペイドワークとは、金銭的な見返りのない家事などの無報酬労働のことをいいます。具体的には、家事のほか、育児や高齢者の介護、地域活動のように、賃金が支払われない労働を指します。2006年の内閣府の試算では、アンペイドワークを貨幣価値で評価すると90.6兆円〜130.9兆円となり、対GDP比は約18%〜26%の規模にのぼります。
安否確認(あんぴかくにん)
安否確認とは、ある人が、生存しているかどうか、怪我などをしていないか、などを確認することをいいます。高齢者の安否確認は、核家族化が進み独居老人が増えている現代の日本では大切なサービスです。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で安否確認が行われるほか、在宅の老人の安否確認を目的とした、見守りカメラなどのシステムも多数開発されています。
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